お医者さんで慢性腎臓病(CKD)と言われたら・・・。
初期の慢性腎臓病には、ほとんど自覚症状がありません。そのため、糖尿病などの病気から併発する場合を除き、慢性腎臓病の多くは学校検尿や職場での検診によって発見されるようです。
慢性腎臓病は不可逆性の病気と言われ、一般的には一度壊れた腎臓の組織は元には戻らないとされています。
そのため、保存期と呼ばれる初期~中期の慢性腎臓病では、腎臓の機能が低下しないように温存していく治療が主なものとなります。
通常、初期の慢性腎臓病であれば、投薬治療と年数回の診察を続けていくことになりますが、腎機能の低下に伴い、食事制限などの治療法が加わり、また、足がむくんだり体がだるくなるなどの自覚症状があらわれます。初期のうちに根気よく診療を続けて腎機能を低下させないことが大変重要になります。
慢性腎臓病は、原疾患(発症の原因となった疾患)・GFR区分(腎臓の残存機能をあらわした値)・蛋白尿区分(原疾患によって尿検査の診断基準や基準値が異なる)によって重症度がステージ分類され、末期には腎臓移植か人工透析が必要となります。
慢性腎臓病と診断されたら、かかりつけ医と相談のうえ、早めに腎臓専門医の先生に診てもらうことをお勧めします。
病状が進み、腎不全(じんふぜん) になったとき・・・。
中等度の慢性腎臓病から投薬治療や食事制限などを真面目に続けていても、腎不全へと移行してしまうことはあります。そんな時、多くの方は落胆します。その中にはできるだけ腎臓移植や人工透析の導入の時期を遅らせようとしたり、治療を続けていく気力を失ってしまう方もおられるようです。
しかし、腎臓移植や人工透析を正しく理解することで、正しい時期に治療方法を移行するということは重要で、生命予後(のちの寿命の長さ)にもかかわるのではないかと言われています。
腎不全(末期の慢性腎臓病)となったとき、まず、腎臓移植か人工透析かを選択しなければなりません。
腎臓移植には腎臓を提供するドナーが必要で、家族などから腎臓をもらうものを生体腎移植、病気や事故などで亡くなった方から腎臓をもらうものを献腎移植といいます。献腎移植の場合、検査ののち臓器移植ネットワークに登録し、臓器移植ネットワークからの連絡を待つことになります。
腎臓移植では人工透析とは違い、腎臓本来の機能のすべてをカバーすることになるため、体調や生命予後に大きな改善が期待されます。移植した腎臓がどのくらいの間、働いてくれるかについては人によりまちまちですが、そのメリットはとても大きいものです。ただし、移植後は免疫抑制剤を確実に飲み続ける必要があり、普段の生活の中でも多少の注意が必要になります。
近年では人工透析への移行前に腎臓移植を選択される方も増えてきているようです。
人工透析療法には、血液を体外で人工腎臓に通して体に戻す血液透析(浸透圧を使って体液交換を行う人工透析[HD]・圧力をかけて体液交換を行う人工濾過透析[HDF]があります)と、腹腔内に透析液を一定時間入れ、自身の腹膜に腎臓の代わりに体液交換をさせた後、透析液を取り出す腹膜透析(自身で透析液の交換を行うCAPD・睡眠中に機械を使って透析液を交換するAPDがあります)があります。
血液透析療法は、血液中から老廃物などを除去する治療法で、週3回、1回4時間を基準として、透析施設でうけられます。また、導入前には治療に必要な血流を確保するため、シャント(動脈に結合された血液流量の多い表皮付近の静脈)を作成するための手術が行われます。また、体調の急変などによりシャント作成の余裕がない場合など、直接動脈を使う場合もあります。
腹膜透析療法は血液透析療法と違い、時間的な拘束の少ない治療法で腹部に腹腔内へ透析液を入れるためのチューブを設置し行います。
鳥取県腎友会
監修:医療法人 さとに田園クリニック 院長 太田匡彦先生